繰り返しになりますが、AIも発展途上の技術ですから、AIだけで万全の情報セキュリティ対策が整うわけではありません。AIの課題の一つは環境変化に弱い点ですが、まったく新しい攻撃手法に対して兆候を見つけることができたとしても、その脅威に対する対抗策を考えていくのは当面は人間の知恵しかないでしょう。
二つ目は、状況判断と行動です。万一、何からのセキュリティインシデントが発生した際、その影響の大きさや及ぶ範囲をいち早く特定し、関係部署とも連携して被害を最小限にくい止めるための最善策を講じる必要があります。このような局面において人間には、既存技術、そしてAIのサポートを土台に、より高度な判断と迅速な行動を起こすことが求められるようになっていくと思われます。
三つめは、人的ミスの低減です。例えば、メール送信時にその宛先が意図したものかどうかの判断はAIにはできません。さらに、添付したファイルがその宛先の人へのものかどうかも判断できません。ですから、AIが判断をサポートしてくれたとしても、最終的に人間が判断しなければならないことは残り続けます。
AIを上手に活用しながら、人の手間を省くと共にセキュリティを高めていきたいものです。